小麦産地概況 コロラド州

コロラド州地図
 

小麦生産一般

コロラド州は合衆国で最も海抜の高い州である。最高峰はMt. Elbert(Lake county)の14,433フィート(4,474メートル)であり、州のほぼ中央より多少西寄りを南北にロッキー山脈が走る。同州の最も海抜の低いのは同州東南部のPowers countyの3,350フィートである。州の凡そ40%が7,000フィート以上の海抜である。同州の総面積は66.3百万エーカーであるが、農耕並びに牧畜可能面積は凡そ31.3百万エーカーであり内10.5百万エーカーが農耕地である。農耕地の約30%が潅漑圃場である。

ミズーリー河の支流であるSouth Platte River(North Platte Riverはネブラスカ州のPanhandleを流れる)はロッキー山脈に水源を持ちコロラド州の北東地区を流れ、同州の東北部の重要な水源と成っている。東南部には同様にロッキー山脈に源を持つArkansas Riverが流れ、カンサス州を横切りミズーリー河に流れ込んでいる。このArkansas Riverとその支流がコロラド州東南部の重要な農業用水となっている。同州の北西部はワイオミング州から伸びる乾燥した平原が少しあるが、地区の殆どが山岳地帯である。ロッキー山脈から西に流れ出すColorado Riverはユタ州南東部とコロラド州南西部の重要な農業用の水源となっている。同地区も農地となる平坦地は極めて少ない。コロラド州の農業の中心地域は、ロッキー山脈の東側の山麓から中央平原に向けてのなだらかな傾斜地(rolling plains)である。ロッキー山麓に多く見られる岩石丘(mesa)は表土が無く農地とは成らない。

州の農業区分は、Northwest&Mountains地区(地区番後10:13郡)、North East地区(地区番号20:8郡)、East Central地区(地区番号60:13郡)、South West地区(地区番号70:12郡)、San Luis Valley 又はSouth Central地区(地区番号80:5郡)、South East地区(地区番号90:10郡)と決められている。

同州の小麦生産は、同州の気象、地形そして土壌により極めて限られた地域に集中している。生産される小麦は硬質赤色冬小麦が主体であり、2001年産冬小麦の生産高はネブラスカ州より多く、66,000,000ブッシェル(単収33.0bu/acre、収穫面積:2,000,000エーカー)であった。この収量は冬小麦生産高で全米第5位となる。同年のモンタナ州の冬小麦生産量は59,200,000ブッシェルであった。

1997年の農業センサスの結果では、小麦生産農家数は5,407戸、作付面積は2,515,100エーカーであり、1戸当りの平均作付面積は465エーカーである。作付け規模で見ると250エーカー以上の農家数が2,422戸(全体の44.8%)、50~250エーカーが2,025戸(37.5%)と成っている。農家規模に於いてオレゴン州の小麦農家より大きいと言える。

春小麦の生産も多少有るが、当該報告書では冬小麦のみに付いて述べることとする。

コロラド州の冬小麦の播種は8月25日頃から開始され、最盛期は9月10日から9月25日(カンサス州より多少早い)、収穫は6月25日頃より始まり最盛期は7月10日から20日頃で、カンサス州より10日程遅い。完了は8月初めである。収穫期はその年の気象条件でかなりずれる。2002年産冬小麦では6月23日現在1%の圃場で収穫が行われていた。その後急激に収穫は進み7月14日現在で収穫収量圃場は全体の91%(昨年同期では53%、平年:66%)であり、平年より極めて早い進行である事が判る。全州での収穫完了は平年より2週間ほど早い。

2001年産冬小麦の作付面積は合計2,350,000エーカー(内、潅漑面積は155,000エーカー6.6%。EC及びSEに潅漑は集中している)であり、地域的に見るとEast Central(東中央地区)が最も多く1,540,000エーカー(全面積の65.5%)であり、続いてNorth East(北東地区)の425,000エーカー(18.0%)となる。東中央地区と北東地区が同州の小麦主産地域と言える。郡(county)別に小麦生産のランクを付けると、Washington(E.C.)、Kit Carson(E.C.)、Yuma(E.C.)、Baca(S.E.)、Adams(EC)がトップ5位である。Baca 郡が南東地区に属する以外は、全て東中央地区(E.C.)の郡である。北東地区(NE)の郡が上位5位に入っていないが、北東地区の8郡の内山岳地であるJefferson、Boulder及びLarimer郡以外(5郡)で集中的な栽培が行われている。

東中央地区(EC)は郡の数が多く(13郡)山岳地であるDenver、El Paso及びDouglas郡以外では各郡6桁の作付面積と成っている。南東地区に於いても山岳地帯の郡(3郡)では全く小麦の栽培は行われていない。2001年産の小麦生産量は66,000,000ブッシェルであり、平均単位収量は33.0ブッシェル/エーカー(潅漑圃場:54.0ブッシェル、非潅漑圃場:31.0ブッシェル)であった。


トップへ戻る

【2001年産冬小麦 :Colorado Agricultural Statistics Service Feb. 21,2002】

  Acre planted
Acres
Acre Harvested
Acres
Yield
Bu/acre
Production
1,000 bushes
North East 425,000 395,000 34.5 13,610
East Central 1,540,000 1,320,000 32.0 42,280
South East 330,000 237,000 37.0 8,710
NW & Mountain 20,000 19,000 18.5 350
South West 30,000 26,000 30.0 780
San Luis Valley 5,000 3,000 90.0 270
Total or Ave. 1,350,000 2,000,000 33.0 66,000

コロラド州の気象は、年間降水量を見る限りロッキー山岳地帯の西側と東側では量的に大差は無い。
年間降水量のみを地区別に見ると(過去7年平均。単位:インチ)、下表の通りである。

【年間降水量】

  N.W.& Mt. W.C.&S.W. S. Cent. N.E. E. Cent. S.E.
95~01平均 17.89 in 15.85 9.67 17.66 18.03 16.75
最高降水量 21.11 in 19.00 10.51 20.61 20.73 19.58
最低降水量 14.63 in 13.64 8.19 12.76 15.60 12.77

資料:Colorado Agricultural Statistics 2002 by NASS


トップへ戻る

小麦主産地である東中央地区(E.C.)はコロラド州では一番降水量が有り、又降水が4月から7月に集中している。この地区の4月から7月の月毎の平均降水量(上記と同じ7年間)は、4月:1.87、5月:2.99、6月:2.74そして7月:3.41インチであり、この4ヶ月の合計が11.01インチとなる(1年の降水量の61.1%に相当する)。東北地区に於いても降水量は4月から7月に多く、10月から3月の降水量は少ない。同地区の7年間に於ける4~7月の月平均降水量は、4月:2.38、5月:3.01、6月:2.20、7月:2.15インチとなっており合計9.74インチ、年降水量の76.3%を占める。オレゴンやワシントン州の小麦生産地と異なる点は、小麦の生育期に降雨が集中していることである。最も降水の少ない南中央地区(San Luis Valley)は潅漑圃場による小麦栽培が主体である。栽培面積は少なく(2001年では収穫面積3,000エーカー)く、収穫された3,000エーカーが全て潅漑圃場であり、単位収量は平80.0~100.0ブッシェル/エーカーに達する。各地区の冬季の降水は殆ど降雪となる。

無霜日数(days without killing frost)は、東北地区は凡そ140日、東中央地区の平原地帯では140~160日、東南地区は160~180日である。南西地区の平坦部では140日程度であるが、各地区のロッキー山麓では無霜日数は凡そ80日である。冬季の気温は極めて低く平原地帯で24~32度F(南東地区の1月平均気温は32~34度で一番暖かい)であり、一番暑くなる7月でも平均気温は76~78度F程度である。南東、南西及び南中央地区では最高気温100度を越す日が多いが、他の地区では100度以上に成ることは稀である。

州東北地区並びに東中央地区の北寄りの土壌は、ネブラスカ州及びカンサス州から伸びるChestnut soilsに属する肥沃な土壌である。東中央地区から南東地区の高原はBrown soilsと称され、中央大平原の西側に南北に伸びる土壌であり、水分さえ有れば極めて生産性の高い土壌である。名前の通り褐色土壌である。作物としては小麦が最適とされる。


トップへ戻る

品種

2002年産冬小麦の作付品種は、コロラド州農務局の発表によれば上位5位の品種は次の通りである。

Arkon: 25.3%
Prairie Red: 13.9%
Tam 107: 13.6%
Jagger: 6.7%
Yumar: 4.8%
(Yumarは同じHRW品種であるがYumaとは異なる。Yumaの作付率2.1%)

Arkonは各地区でトップの座に有り、どの地区でも約25%(E.C.では26.9%)以上の作付けである。第2位は東中央地区ではTam 107、東北地区ではJaggerの9.7%、そして南東地区ではPrairie Redが18.5%作付けられている。Yumarは東中央地区のAdams郡に多く作付けられている。作付け面積率1.5%の品種は15品種を数えるが、その他として統計上纏められている品種の作付けは、全体の10.3%に相当する。主要品種は全て公的機関(州農事試験場及び農務省)により開発された品種である。GMO品種の作付けは統計上皆無である。

Arkonは1996年産より作付けが始まっており、年々増加し2002年産で第一位の作付けとなった。第二位のPrairie Redは2000年産より作付けが始まった新しい品種であるが、その普及は非常に早い。Tam 107は1996年産ではコロラド州の冬小麦の56.9%を占めたが、その年をピークに年々減少し2002年産では第三位に落ちた(全作付面積の13.6%、319.6千エーカー)。カンサス州農務局で育成されたJaggerは1999年産より作付けが始まり、順調に伸びて来ている。同品種はカンサス州では第一位(全体の42.8%)の作付け品種である。

ネブラスカ州の冬小麦は、従来品質が優れていると言われている。そのネブラスカ州においてArkonは2001年産より作付けられ、Panhandle並び南西地区の小麦主産地で広がりつつある。品質を重要視するネブラスカ州で普及の兆しがあることは、同品種の硬質冬小麦としての品質特性が優れているからと言えよう。

Jaggerは、カンサス農務局試験場と連邦農務省の共同育種により開発されたsemi-dwarf(矮性)のHard Red Winter wheatであり、1995年にリリースされた。乾燥したカンサス州西部を始め適応地域は広い。製粉・製パン適正ではカンサス州のWheat Quality Councilより平均からそれ以上と評価されている。蛋白含有量も安定している。


トップへ戻る

2002年産小麦予想

2002年7月1日付け農務省の2002年産冬小麦の生産量予想によれば、コロラド州の硬質赤色冬小麦の収穫量は37,950,000ブッシェルとなっている。6月1日予想より8%の下降修正であり、2001年産の66,000,000ブッシェルの42.5%減となっている。収穫面積は1,650,000エーカー(昨年比35万エーカー減)と予想され、平均単位収量は23.0ブッシェル/エーカーと昨年より10ブッシェル少ない予想である。1977年来の最低記録が予想される。

開花期から乳熟期(5月末から6月上旬)の高温・乾燥が低単位収量を起こした大きな要因である。更に、その後の高温・乾燥は小麦を急速に枯熟させ、澱粉の蓄積が不十分の状態で収穫期を迎えた。

2002年産冬小麦の播種は略平年並に進行した。作付面積は2001年産と同様2,350,000エーカーと発表されていた。

2001年12月は平年より温暖であり、山岳地方の降雪は少なく又平原のSnow coverも同様に少なかった。休眠中の冬小麦が危険な状態にあることが報告されていた。2002年1月も降雪は山岳地方に見られたものの、州全体で降雪量は平年の59%と言われ、州東部の平原地方の小麦圃場はSnow coverが殆ど無い状態が続いた。幸いWinter killを起こすほどの低温が襲うことは無かった。2月の気温は平年並みか多少平年以上にて推移した。降雪は少なく降雪量は州全体で平年の56%と報告されている。

州東部平原は乾燥状態が続き、剥き出しの小麦は極めて危険な状態であったが、2月末に6~10インチの降雪が有り、恵みの雪となった。休眠中の小麦の評価は"fair"のであった。3月の気象は、多少気温は平年を下回ったが降雪は少なく、東部平原は極めて乾燥した状態であった。3月末には一部小麦は休眠から覚め出した。小麦の状態は多少前月より悪化した。4月1日のTopsoilの水分状態は、Very short:29%、Short:46%、Adequate:24%、Surplus:1%であった。4月15日の段階で、土壌水分はTopsoilで"極めて不足から不足"が78%、Subsoilでの"極めて不足から不足"が82%と成っていた。気温は平年を上回り、降水は殆ど無かった。

冬小麦は10%が分蘖期(昨年同期:6%、平年20%)で平年より遅れていた。生育状態は、"Very poor" から"Fair"が82%と成っていた。4月末まで十分な降水は無く、土壌水分の状態は悪化し、冬小麦の状態も悪化した。4月29日の段階で小麦は26%が分蘖(平年:49%)、出穂0%(平年:1%)であった。状態は88%がFairかそれ以下であった。その後も東中央地区、東北地区ではほとんど降水は無く、土壌水分は減少し、小麦の栄養成長は遅れ出した。分蘖46%(昨年:51%、平年:71%)、出穂1%(平年:3%)。生育状態はVery poor:21%、Poor:36%、Fair:17%と成っている。

5月中旬に東部平原で初めてまともな降水(多いところで1インチ弱)が有ったが、土壌水分を改善するには至らなかった。5月20日現在にて分蘖は90%(平年:93%)と最終段階となり、出穂は34%(昨年:26%、平年:30%)と生殖成長が早まっている。5月末からHot&Dryの気象となり、冬小麦の状態は更に悪化した。6月2日までの週で各地にて最高気温の記録を更新した。6月9日に終わる週に降水があり、高温・乾燥状態に一息ついたが直ぐに高温・乾燥状態が戻った。冬小麦は95%が出穂(昨年:87%、平年:88%)していた。開花は終わり乳熟期に入っている。6月16日には99%の冬小麦が出穂し、高温の為急速に登熟をしていた。収穫は未だ開始されていなかった。6月23日現在土壌水分は、Topsoilの47%がVery short、35%がShortであった。各地で雷雨が有ったが土壌水分と小麦の状態を改善するには至らなかった。この週に1%の冬小麦が収穫された(昨年:0%、平年:2%)。高温・乾燥気象はその後も続いた。急激に冬小麦の枯熟は進み7月7日現在53%の小麦が収穫され、7月14日には91%が収穫された。昨年同期では53%、平年では66%の収穫状況であり、2002年産冬小麦の収穫作業がいかに早く進行したかが伺える。7月21日の段階で98%の冬小麦が収穫された(平年:88%)。

土壌水分不足の下での栄養成長、そして生殖成長期に遭遇した高温・乾燥気象が2002年産冬小麦の減収の最大原因と言える。約30%の冬小麦圃場が収穫を放棄した。

2002年の冬小麦の品質は、民間機関の調査に拠れば、東北部の小麦では容積重は59.37lb/buと多少昨年の平均容積重(58.43lb/bu)を上回っている。小麦水分は平均10.24%(昨年:11.70%)と乾燥している。蛋白含有量は水分12%ベースで見ると、2002年産は平均値で14.39%(昨年:12.56%)と極めて高い。しかし、1000粒重は平均26.44g(昨年:26.86g)と昨年を多少下回る結果が報告されている。灰分は高く平均値で1.612%(昨年:1.523%)と成っている。南東部の冬小麦では、容積重は平均59.08lb/buと昨年(61.28lb/bu)より低い結果と成っている。小麦水分は低く、平均値9.65%(昨年:10.60%)であり、蛋白含有量は水分12%ベースで13.54%(昨年11.73%)と高い。1000粒重は27.38g(昨年:32.89g)であった。コロラド州では収穫期の7月は降水量の多い月であるが、2002年は降水が少なく発芽粒の発生の心配は少ない。Falling Numberは北東部の小麦サンプルの平均値は407、南東部の小麦サンプルの平均値は404と報告されている。

冬小麦の主産地である東中央部の品質分析の情報が十分で無いが、収穫期までの気象条件より、東北部及び東南部の小麦と大差無く、低水分、低1000粒重、高淡白質、高灰分が予想される。発芽粒や菌による病害粒は少ないと言えよう。


トップへ戻る

関連リンク