小麦産地概況 モンタナ州

モンタナ州

小麦生産一般

モンタナ州にて生産される小麦は、PNW地区の小麦とは全く異なり、ハード・レッド・ウインター小麦(Hard Red Winter wheat)、ハード・レッド・スプリング小麦(Red Spring wheat、Northern Spring wheat、Dark Northern Spring wheat)そしてデュラム小麦(Durum wheat)の3種類である。小麦生産地帯は、ロッキー山脈の東に広がる平原である。

モンタナ州の小麦生産農家数は、1997年センサの結果では7,932戸である。同年の作付け面積は615万エーカーであり、これらの数値より1戸当りの平均作付け面積は凡そ775エーカーとなる。PNW地区の1戸当りの作付け規模より極めて大きい。

モンタナ州の農業区分は、北西地区、北中央地区(8郡)、北東地区(8郡)、中央地区(10郡)、南西地区、南中央地区(7郡)、そして南東地区(7郡)の7地区から成る。中央地区、北中央地区そして北東地区が先に述べたChestnuts soilsに属し穀物の生産に適した土壌であり、同州の主たる小麦生産地帯と成っている。中央地区並、南中央地区並びに南東地区はBrown soilsに属し、表土は灰褐色から灰色を呈し、1フィート程より石灰質を含む。アメリカ中央の西側に広がる土壌で、肥沃でるが一般畑作には灌漑が必要である。


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硬質冬小麦(Hard Red Winter wheat)

モンタナ産冬小麦は、高蛋白の硬質・赤色小麦(Hard Red Winter wheat)である。主産地は州農業地区の北中央地区、中央地区そして南中央地区である。
作付け面積を見ると、2000年産冬小麦は150万エーカーとなっており、地区別に見ると北中央地区が740,000エーカー(全体の50%)、中央地区が340,000エーカーそして南中央地区が202,000エーカーと成っている。灌漑ほ場は極めて少なく全冬小麦作付けの1%程である。収穫量は全州で4,455万ブッシェル(124万トン)であり、主産地の北中央地区で2,409万ブッシェル(平均単位収量:35ブッシェル/エーカー)となっている。州平均単位収量は33ブッシェル/エーカーであった。

冬小麦の平年での播種は9月7日ごろ開始され9月中旬から10月9日頃が最盛期となり、10月23日には全州において完了する。収穫は早い地区で7月20日頃から開始されるが、最盛期は8月3日から8月23日頃である。収穫は9月8日頃までに全州で完了する。

北中央地区の年間降水量は凡そ12インチ、中央地区は13~16インチ、そして南中央地区は12~18インチである。4月から9月までの降水量は全地域にて8~10インチを記録しており、小麦の生育期に年間雨量の凡そ80%が降ることになる。この降水量の如何により生産量が大きく左右される結果となる。灌漑ほ場は全体の1.1%程度のみで、夏季休耕(summer fallow)による栽培形態が主体である。2001年産の冬小麦は、播種期の降水不足に加え生育初期(5月末まで)の降水量不足の為、1990年以来と言われる低収量(23.0ブッシェル/エーカー)を記録した。


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冬小麦の品種

冬小麦の品種は、生産地区でその選択が多少異なる。冬小麦の作付けの多い北中央地区最も多く作付けられている品種は、Rampart(2001年産の作付けにて同地区の24.7%)、続いてMorgan (15.8% )、Rocky(15.7%)となっている。中央地区ではNeeleyが同地区の49.4%に作付けられ(北中央地区では8.2%)、続いてRampartが12.8%となっている。南中央部の主力品種はやはりNeeley(48.3%)であり、続いてTiberと言う品種が37.4%となっている。
モンタナ州全州の2001年産冬小麦(Hard Red winter wheat)の品種別作付け順位は、過去14年間連続しNeeleyがトップであり(273,000エーカー、22.8%)、2位はRampart(187,000エーカー、15.6%)そして3位がTriber(132,000エーカー、11.0%)と成っており、その他10%未満の作付けで、Morgan、Rocky及びVanguard等の品種が作付けられている。

  • Neeleyは農務省農業試験局(Agricultural Research Service、USDA)とアイダホ農事試験場の共同育種により、1980年育成された。矮性品種(semi-dwarf)品種、成熟は中手である。乾燥条件でも30ブッシェル/エーカーの収量を期待できる。
  • Rampartはモンタナ農事試験場にて1996年に育成された。同品種は耐さび病(stem-rust)又茎が硬く耐ハバチ(stem saw fly)品種であるが、一部のさび病(strip rust、leaf rust)には罹病し易い。小麦萎縮腥黒穂病(dwarf smut=bunt)及びアブラムシに弱い。製粉及び製パン適正が優れている。
  • Tiberは1987年にモンタナ農事試験場にて育成発表された。耐寒性(winter hardiness)、多収性品種。茎が強く草丈は平均的な高さであるが、耐倒伏性がある。腥黒穂病、黄さび病(strip rust)に極めて弱い。

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硬質春小麦(Hard Red Spring wheat)

モンタナ州における硬質春小麦の生産は、主に北東地区及び北中央地区で行われており、両地区における作付け面積は全州の82.7%(277万エーカー/335万エーカー)を占める。北東地区142.5万エーカーに対し、北中央部は134.5万エーカーであった。2000年産春小麦の平均単位収量は、25ブッシェル/エーカーであり冬小麦より単位収量は低い。全州での生産量は77,500千ブッシェル(約219万トン)であった。北東地区での単位収量は28ブッシェルであったのに対し、北中央地区では21ブッシェルであった。この差は年間降水量の差に因ると言える。

平均年間降水量は北東地区で12~14インチ、北中央地区においては凡そ12インチと北東地区より少ない。4月1日から9月末迄の降水量が、北東地区では年間降水量の凡そ85%を占め、北中央地区では80~85%を占めている。

播種は4月8日頃から早い所では開始されるが、5月から6月中旬の降雨が単位数量に大きく影響を及ぼす。播種の最盛期は平年4月22日から5月29日頃である。収穫は早い地方で8月7日、最盛期は8月16日から9月6日頃となる。全州で9月27日頃には収穫は完了する。霜害を引き起こす秋の最初の霜は北東地区及び北中央地区では、略9月20日頃である。播種が遅れたりし枯熟していない粒が早秋の霜(Killing Frost)に遭遇すると、霜害粒の発生となる。

尚、晩春最後Killing Frostの発生時期は北中央地区、北東地区では凡そ5月20日である。この春のKilling Frostは、休眠から覚め発育を再開した冬小麦に被害を与え、又春小麦の播種を遅らせる原因ともなる。


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春小麦の品種

モンタナ州の春小麦品種は、2001年の作付け実績ではMcNealが第一位(北東地区で56.6%、北中央地区では43.4%、全州48.6%:165万エーカー)、次がErnest(北東地区で12.4%、北中央地区では15.5%を占める)で全州の10.3%、作付け面積で34.9万エーカーと成っている。第三位、四位にAmidon及びFortunaが続くが作付け比率は、7.5%、5.5%に過ぎない。モンタナ州で作付けられている硬質春小麦の品種数は20数種を数える。品種改良は、モンタナで特に被害の大きいハバチ(wheat stem sawfly・小麦の茎に産卵し幼虫が小麦の茎を喰害する)への抵抗性、耐各種さび病(rust)、製粉・製パン適正、耐倒伏性(semidwarfの開発)等の方向で行われている。

  • McNeal(Hard Red Spring)は、過去4年連続で作付けトップの座にあり近年作付けが増加している。同品種はモンタナ農事試験場で開発され1995年3月に発表された。矮性、耐倒伏性(resistant to lodging)、耐黒さび病(stem rust)品種であるが、赤さび病(leaf rust)、黄さび病(strip rust)等に弱い。
  • Ernest(Hard Red Spring)は、1995年にノース・ダコタ農事試験場より発表された品種。標準的な草丈、耐ハバチ(茎が硬い)、耐赤さび病、耐黒さび病の品種と言われる。
  • Amidon(Hard Red Spring)は、現在作付け第三位の品種。全州で25.5万エーカーに作付けられている。1988年にノース・ダコタ農事試験場より発表された。各種のさび病に耐性を有する。製粉及び製パン適正で優れている。
  • Fortunaは古い品種であるが、ハバチ(wheat stem sawfly)に極めて抵抗性が有ることより根強い人気を持ち続けている。2001年には北中央部では同地区の9.6%、14.8万エーカーに作付けられた。

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デュラム小麦(Durum wheat)

デュラム小麦は、本来乾燥、高温な気候に適した小麦であり、地中海沿岸、中央アジア、黒海沿岸で作付けられて来た。アメリカではノース・ダコタ州並びにモンタナ州において主に生産されている。旱魃に強いが、霜に弱い。粒は極めて硬く、セモリナ(semolina・胚乳粗粒)を多く取ることが出来る。麩(グルテン)量が多いが、麩質は柔らかくセモリナはパスタに適する。

デュラム春播き小麦であり、モンタナ北東地区がその主生産地区である。播種期並びに収穫期はその他春小麦と同時期と言える。2000年産は48万エーカー、2001年産は51万エーカー作付けられており、その85%が北東地区で作付けられている。2000年産デュラム小麦の生産量は凡そ1,316万ブッシェル(35.9万トン)であった。単位収量は全州平均28ブッシェル/エーカー(北東地区平均収量:29ブッシェル)であったが、2001年は主産地北東地区の春の降水量不足の為、単収は24ブッシェル/エーカーと落ち込み、生産量は1,188万ブッシェルと言われる。同州のデュラム小麦の生産量は、ノース・ダコタ州に次全米第2位の位置にある。

デュラム小麦の品種

デュラム小麦の品種"Kyle"は、過去5年モンタナ州の第一位の座にある。2001年産の作付けでは州のデュラム小麦の43.7%(23.6万エーカー)を占めた。1984年にカナダ農務省研究所よりリリースされた耐さび病品種である。反面、腥黒穂病に弱い。Kyleに続く品種は、1999年にノース・ダコタ農事試験場より発表されたMountrail(5万エーカー、州作付けの9.2%)である。この品種は今後作付けの拡大が予想されている。セモリナの歩留まりが高く、又麩質は強い。赤さび(leaf rust)及び黒さび(stem rust)病に抵抗性を持つ。第三番手にBen(作付け面積44,000エーカー、全体の8.2%)続く。同品種はノース・ダコタで開発され1996年に発表された品種である。粒形は大きく、高蛋白質。赤さび・黒さび病に抵抗性を持つ。


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気象

同州の小麦生産地帯の年間降水量については既に触れた通り、北東地区で凡そ12~14インチ、北中央地区にて約12インチ、中央部で13~16インチ、そして南中央部では12~18インチとなっている。Killing Frostの無い期間は、北東地区及び北中央地区では120日~140日、州中央地区では凡そ140日と言える。南西地区の無霜期間は凡そ105日で所により90日の地区もあり、この様な地区は作物の栽培には向かない。晩春のKilling Frostの発生は、北東地区及び北中央地区では5月20日頃であり、中央地区から南部にかけては5月20日から5月30日、処によっては6月初めにもKilling Frostの発生を見る。早秋のKilling Frostは9月20日頃であるが、州の中央地区から南西地区に掛けては9月10日頃のKilling Frostの発生もある。

一月の平均気温は、北東地区では華氏6度から10度(摂氏マイナス14.4度からマイナス12.2度)、北中央地区では華氏10度から15度、中央地区から南部にかけては華氏20度から22度であるが、7月の平均温度は華氏66度から72度と成り、各地で最高気温100度以上を記録している。5月頃より100度以上を記録する事も頻繁にある。小麦開花期の高温、乾燥は単位収量激減の大きな原因となる。冬季に冬小麦が生き残る為には、Snow coverが条件となる。
他州に比較し、小麦生産地帯の気象は極めて不安定と言える。


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