小麦産地概況 ネブラスカ州

ネブラスカ州

小麦生産一般

ネブラスカ州は、北はサウス・ダコタ州、西はワイオミング、西南の一部がコロラド州、南がカンサス州そして東はアイオワ州に囲まれた農業州である。全州93の郡から成り、農業統計上の区分は次の8区分である。 North West(11 counties)、North Central(16 counties)、North East(13 counties)、 Central(8 counties)、East Central(16 counties)、South West(9 counties)、South Central(8 counties)South East(12 counties)、(同州の地図は、ネブラスカ農業州のホームページから探す事が可能である。)同州をPanhandleと称するが、丁度北西地区(NE)の11郡の部分がフライパンの柄(Panhandle)に当ると言えよう。

2001年産の農産物生産量を基に全米のランクを見ると、コーンは1,139,250千ブッシェルで3位、大豆は222,950千ブッシェルで5位、冬小麦は59,200千ブッシェルで7位、ソルガムは35,700千ブッシェルで3位、アルファルファ・ヘイは3位、ドライ・ビーンは3位と言った具合である。2001年の潅漑農地面積は8,175,000エーカーで全米第2位と成っている。畜産も盛んな州であり、2002年1月1日現在の肉牛の頭数は193万2千頭で全米第3位である。

1997年の農業センサスの結果では、農作物用地は22,092,954エーカーで平均農家規模は885エーカーと発表されている。小麦農家に付いて見ると、1997年の農家数は9826戸、栽培面積は1,772,069エーカーで、1農家辺りの栽培面積は平均180エーカーとPNW、モンタナ並びにノース・ダコタ等に比較すると農家当りの規模は小さい。249エーカー以下の農家が7,680戸(全体の78%)と成っている。250エーカー以上の農家数は2,146戸である。小麦の潅漑圃場は全体の凡そ6.3%、112,366エーカーに過ぎない。主体は他作物との輪作か、夏季休耕圃場である。

同州の冬小麦の主たる生産地区は、北西地区(Panhandle)、並びに南西地区の諸郡である。又カンサス州と接する南中央地区、南東地区の諸郡並びに中央地区に於いても生産されている。2001年産冬小麦の作付面積で見ると、北西地区が計750,000エーカー(全体の42.8%)、続いて南西地区の575,000エーカー(全体の32.8%)となっており、これら2地区でネブラスカ州の小麦の7割以上が生産されている。2001年産の冬小麦の生産量は59,200,000ブッシェル(約161.3万トン)であり、郡(county)別では北西地区のCheyenne countyが第一位で5,608,400ブッシェル(29.8ブッシェル/エーカー)、第二位は同地区のBox Butte の4,399,100ブッシェル(40.5ブッシェル/エーカー)であった。第三位は南西地区のHitchcock countyの3,128,200ブッシェル(38.4ブッシェル/エーカー)である。ネブラスカ州の中央から南東部はコーンそしてソルガムの主生産地帯と成っている。


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硬質赤色冬小麦が生産されており、先に触れた通り潅漑圃場の比率は極めて低い。播種は8月30日頃から開始され最盛期は9月12日から26日頃である。10月10日までには全州で播種は完了する。2001年産(2000年の秋蒔き)の播種は北西地区では9月3日に3%の状態であった。最盛期は9月17日、完了は10月8日であった。播種の開始と完了は降水の有無と極めて関係が深い。収穫は早い地方では6月下旬から始まるが、7月7日頃が一般的な開始時期である。最盛期は7月中旬で全州の完了は8月第一週と言える。2001年産では、主産地の北西地区では7月8日に3%、8月5日に98%であった。2002年産の播種は、北西地区では2001年9月2日の段階で4%の圃場が播種されていた。9月30日には同地区の播種は92%完了であった。2002年産の収穫は北西地区では6月30日の段階で6%、7月21日現在で87%、全州では93%の完了である。作付面積は1,650,000エーカー(2001年産:1,750千エーカー)と発表されている。

小麦生産地帯の気象は、Panhandleの北西地区は年間降水量が16~18インチ、南西地区は18~22インチである。カンサス州境の諸郡は22インチから28インチであり、州の東に移るほど年降水量は増加する。州南東部は30~34インチの年間降水量が有る。

降水は4月から9月に集中しており、西部では凡そ年降水量の75%が南西地区及び南地区では凡そ80%が4月1日から9月末までの期間の降水である。北西地区の無霜期間は約140日、南西地区から東にかけ150日から160日となる。南東地区は170前後である。春の晩霜(killing frost)は北西地区では5月15日から20日頃が平均であり、南西地区から南東部にかけては4月30日から25日頃が最後のKilling frostの目安である。秋の最初のKilling frostは北西地区では9月25日から30日、南西地区になると10月5日頃である。冬季の気温は低く1月の平均気温は22~28度F(北西地区は22度F)であり、7月が最も気温が高くなる。7月のPanhandleの平均気温は72~74度F、南西地区では76~78度であるが、最高気温は110度F以上を各地で記録している。同州はアメリカ中央部の典型的気象と言え、概して乾燥、冬季は極寒となり夏季は極めて高温となる。極めて多彩な気団の進入で気象の変化が著しい。例えば高温・湿潤の気団がメキシコ湾から、乾燥・高温の空気が南部から、乾燥・低温の気団がカナダからそして、乾燥・冷涼気団が太平洋側から進入する。農作物は気象が極めて変化し易い条件下で生産されている。

ネブラスカ州の東部州境はミズリー河であり、その支流(Platte river)が州の中央部を西に伸びPanhandleを2分している。海抜は南東部の900フィートに始まり、西に向け海抜は高くなる。北西部の最も高い所は5,000フィート、南西部では3,000フィートと成る。土壌は北西地区と南西地区はノース・ダコタから続くChestnut soilsに属し、南部はChernozem soilsに属す。南東地区の土壌はPrairie soilsである。乾燥した草原に見られる土壌であり、灰褐色から黒褐色の肥沃土壌であり穀物生産に適する。北中央地区は砂質土壌で砂丘も見られ農業には向かず、肉牛の放牧地(冬季は乾燥牧草を飼料とする)と成っている。


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品種

ネブラスカ州で作付けられている冬小麦は、硬質赤色冬小麦(Hard Red Winter wheat)であり、中心新種はAlliance、Arapahoe、Pronghorn、2137等である。カンサス州にてトップの座に在るJagger(カンサス州の冬小麦の42.8%)は、ネブラスカ州では2002年産小麦の3.4%を占めるに過ぎないが、増加の傾向にある。北西地区に限定して見ると、Allianceが26.9%、Pronghorn:17.4%、Buckskin:13.4%と成っている。他の品種は10%未満の作付面積である。Arapahoeは東中央地区の51.0%の圃場で作付けられている。但し、東中央地区は小麦の作付けは全州作付けの1.3%と極めて少ない地区である。南西地区の中心品種はArapahoe:16.3%、Alliance:14.7%、Niobrara:11.1%、2137:10.1%と成っている。

2001年産並びに2002年産のトップランクの品種は次の表の通りである。%は州全体の作付面積に占める率である。

トップランクの品種

  Alliance Arapahoe Pronghorn 2137 Niobrara Buckskin Others
2001年産 16.60% 13.00 10.80 8.00 6.90 6.20 38.50
2002年産 16.00% 13.40 10.90 10.40 9.30 4.70 35.30

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Allianceは早生品種である。草丈は低い。.耐寒性(winter hardiness)に富む。蛋白質は中庸、製粉性並びに製パン適正は良好と言われる。菌核病(foot rots)に罹病し易いのが難点。Arkan、ColtのChisholm等の交配から選別・育種された品種である。ネブラスカ州農務局とUSDAの共同育種により生まれた。1996年より作付けが開始された。

Arapahoeは過去数年作付けが減少してきた。熟期はAllianceより長い。草丈はAllianceより高い。耐寒性と分蘖の良さが評価されて来た。蛋白含有量は高く、製パン適正は良好。耐黒さび病(stem rust)。 Pronghornは最も草丈の有る品種である。早熟である。南西地区その他乾燥地帯での単位収量が他品種より優れている。耐寒性並びに分蘖に富む。Buckskinと単位収量は同程度。高蛋白質で製パン適正も良い。Centura/Dawn/Coltの交雑種。ネブラスカ農務局とUSDAの共同育種にて開発された。1997年にリリースされ、1998年より作付けられている。

Buckskinは1973年にリリースされた息の長い品種である。当時はネブラスカ州農務局にて育成された品種、ScoutとCentrukの2品種で全作付けの6割以上を占めていた。その後多くの品種が発表され、作付け品種は十数種を数え、AgriPro等民間の種苗会社の開発した品種も数種含まれる。


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2002年産小麦の作柄

7月21日現在ネブラスカ州の冬小麦の収穫は93%の圃場で完了した。昨年同期では67%、平年(過去5年平均)では78%であり、2002年の収穫作業が極めて早いことが判る。昨年秋の播種時期を振り返ると、9月2日現在で全州の4%の播種が終わっており、これは平年同期(3%)と比較し特別早いわけではない。播種の完了は10月の第1週であり、平年より早目であった。2001年4月1日から8月5日までの降水量は平年並かそれ以上であった。南西地区は平年の99%(SW)、北西地区は平年の107%。このことより播種期の土壌水分は良好であったと判断される。

冬季の気象は北西地区で降雪不足が報じられており、snow coverの無い小麦圃場では小麦の状況が悪化したと言われる。2002年2月の小麦の状況はVery poor:1%、Poor:5%、Fair:40%、Good:51%、Excellent:3%であった。3月も降雪が不足気味であり、小麦の状況が2月より多少劣化した事が報告されている。比較的mild winterであったことより小麦の凍死は免れた模様。3月終わりに小麦は休眠から覚めたが、冬季の降雪(降水)不足因り生育の初期より土壌水分不足に遭遇した。4月の降水量は小麦主産地の北西地区で平年の27%、南西地区では17%、南中央地区では18%と極めて少なく、これらの地区の土壌水分は5月5日の段階で75~85%が"極めて不足"から"不足"の状態であった。小麦は34%が分蘖期に入っていた(平年同期:42%分蘖期)。

5月26日現在の同州小麦の状況は、very poor:18%、poor:29%、fair:35%、good16%, excellent:2%であり、これは2001年産を下回る。全州小麦の36%(昨年同期:50%、平年:46%)が出穂していた。Panhandleの小麦は当時3%の出穂状態であった。小麦の主産地である北西地区(panhandle)の4月1日~5月26日の降水量計は平年の37%、西南地区では42%、南中央地区では72%であり、土壌水分不足が小麦の生育状況を悪化させていた。その後も降水量には恵まれず、出穂67%(NW地区52%)に至った時期(6月2日までの週)に平年より7~11度F高い気温が全州を覆った。この高温は一部の開花していた小麦の受粉に悪影響を与えた。小麦の作柄はvery poor:31%、poor:26%と報告されていた。

6月10日~16日にかけ気温が下がり、降水が有り小麦の状況は多少改善された。特に多くの圃場の小麦は開花期から南部では乳熟期にあり、気温が下がったこと、多少の降水は恵みの雨であった。しかし、その後気温は再び上昇し、平年を上回った。南西部では各地で100度F以上を記録し、北西地区でも1週間の平均最高気温は95~98度Fであった。小麦は急速に登熟し、栄養成長は昨年並びに平年より遅れていたが、成熟成長になり昨年並びに平年を上回る速さで進展した。このことは、澱粉の蓄積が不十分のまま完熟する事を意味する。6月23日の段階で全州77%の小麦がTurning color(枯熟期)に入った(昨年:50%、平年64%)。4月1日から6月23日までの積算降水量は、北西地区は2.28インチで平年の40%、南西地区では3.69インチ(平年の46%)であった。

2002年の小麦の収穫は6月末から開始され、6月30日現在で北西地区は6%、全州では27%が収穫された(昨年同期:3%、平年12%)。このときの小麦の状況は、very poor:32%、poor:35%、fair:18%、good:13%、excellent:2%であった。その後も気温は平年を3~9度ほど上回る高温が続き、小麦の収穫は急速に進み7月21日の段階で全州の97%(北西地区:87%、南西地区99%、南中央地区:100%)で収穫が収量した。昨年同期では67%、平年同期では78%完了である。

農務省の6月1日発表の収穫量予想は次の通りである。


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収穫量予想

  作付面積
千acre
収穫面積
千acre
単収
bu/acre
生産量
千bu
2002年産予想 1,650 1,600 29 46,400
2001年産実績 1,750 1,600 37 59,200

7月3日付けネブラスカ農務局の発表では、収穫面積は1,450,000エーカーと下降修正されている。単位収量の発表が無い事より収穫量は不明であるが、29.0ブッシェルとしても、42,050,00ブッシェルとなり昨年の71%の収穫量である。

ネブラスカ州の2002年産冬小麦の品質は、現在明確には述べられないが、収穫完了の早かった南東部の小麦では、平均容積重は61.3lb/bu(昨年60.55lb/bu)、水分12%ベースの蛋白質含有量は、平均12.27%(昨年12.11%)、千粒重30.92g(昨年28.50g)と比較的良い結果が報告されている。この地区は4月1日から6月23日までの積算降水量は平年の92%であり、又生育が他地区より多少早く乳熟期に高温に遭遇しておらず、澱粉の蓄積が進んだ後高温迎え一気に枯熟期となった。その結果収穫時の水分は昨年より低く平均11.19%(昨年:12.10%)であった。同地区の収穫開始は昨年より早く6月25日頃であった。

小麦主産地の北西地区、そして南西地区の品質は、収穫が完了したばかりであり不明であるが、同地区の生育期並びに成熟期の気象状況をベースに推察すれば、低容積重・低千粒・高淡白質と言えそうである。病害粒の発生は少ないものと思われる。

尚、ネブラスカ農務局発表のGMO農作物品種に関する資料では、同州に於いてはGMO小麦の作付けは行われていない。同州の86%の大豆、43%のコーンがBiotech Varietiesである。


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